「なぁ、皆本……」 目の前で焦る皆本の表情。俺の白衣を掴む手から伝わってくる、動揺。膝で脚を割ってやれば、驚いたように皆本が目を見開いた。「ちょ、賢木ッ! ここ職場ッ」「わかってるよ……でも、ここは俺の部屋。鍵掛けたから、紫穂ちゃんでも入ってこれない」 俺の言葉に皆本は眉を寄せて最後の抵抗をするように、俺たちの間に開いた僅かな隙間に腕を滑り込ませて俺の身体を押し返した。「どういう、つもりだ」「どうって……もちろん、そういう、つもりだけど?」 白衣を掴む皆本の手に、きゅっと力が籠る。 はぁ、と熱っぽい息が溢れる。悪いけど、俺はお前みたいに、ほっとかれて大人しく待てがしてられるほど堪え性があるわけじゃないんだ。「ここには暫く、誰も来ねぇよ。皆本?」 今にも触れてしまいそうな距離で囁くと、皆本の目が更に動揺で大きく揺れた。 俺から、触れて、求めてしまうのは、簡単。でも、お前にも、堕ちてきてほしいって思うのは、俺が強欲だからなのか? 視界もぼやけてしまいそうな近さで、じっと皆本の目を覗き込む。「なぁ、皆本」 誰も来ねぇよ? ともう一度、低い声で呟いた。
お前が欲しい



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