バベルへ着いて、先生に誘導されながら検査室へと向かう。その道中で、先生から連絡を受けていた皆本さんと合流した。それから検査室へ着いて、検査の準備をしているときに、薫ちゃんと葵ちゃんがやってきた。「紫穂っ、大丈夫っ?!」「薫、これから検査だ。大人しくしてろ」「これが大人しくしてられる状況ッ!」「アカン、薫!今は検査が先や!」ウチら控え室で待っとるから!と葵ちゃんが薫ちゃんを引っ張っていく様子が手に取るようにわかる。いつもの様子に少しだけ落ち着いて、ふぅと張り詰めたままだった息を吐いた。「よし、検査始めるぞ」先生の声が耳に届く。ぎゅっと服の裾を掴んで不安を誤魔化す。「…よろしく、お願いします。」普段は言わないことを言ったからか、先生がふっと笑った気配を感じる。検査用の機械が起動する音が検査室に響いた。先生と皆本さんに指示されるがまま、着々と検査を進めていく。「どうだ、賢木」「…失明はしてないな。だが、視神経が麻痺してる。」先生たちの冷静な声に、少しずつ私も冷静になってきていた。「脳波は?」「超能力中枢にどんな影響が出てるかはまだわかんねぇな。問題は無さそうだが…」しばらくサイコメトリーは使わない方がいいだろうな、という賢木先生の声を聞いて、ぎゅっと胸が縮こまる。自分の仕出かしたことが、こんなに大きな影響を生むことになるなんて思ってなくて、複雑な気持ちになった。「お前の生体コントロールで何とかならないのか?」「何とも言えねぇな。やってみねぇとわかんねぇけど、確証がねぇ」先生の悔しそうな声が耳に届く。勝手な行動を取って事故を起こした私が悪いのに、先生がそんなに自分を追い詰めないで欲しい。そう言いたくても、自分の行動に責任があるせいか、上手く言葉にならない。「紫穂、検査終わったよ。立てるかい?」皆本さんに手を取られて、ゆっくりと立ち上がる。ありがとう、と皆本さんに声を掛けて、手を離す。先生の手とは違う優しい手に、ほっとはするけれど、心細さが呼び起こされる。目が見えないだけで、こんなにも不安になるなんて。いつもは見えるはずの先生の姿を確認できないだけで、不安を掻き立てられて仕方ない。「賢木、紫穂に包帯巻いてやってくれ」「お前がやってくれ」「?…いいけど。紫穂、ちょっと我慢な」皆本さんの優しい手が、私の頭を固定して目の回りにぐるぐると包帯を巻いていく。先生の声が無感情だったことが、すごく気になるけれど、どんな表情をしているのかが見えなくて、更に不安になってくる。いつもなら、私が怪我をしても先生が処置してくれていた。なのに、どうして。私が勝手な行動してこんなことになったから?怒っているの?「…次はコイツの検証だな。」先生の声が少し離れたところで聞こえる。相変わらずその声は冷たくて。声の距離から予測するに、恐らく、届いた荷物が置いてあるテーブルの側に立っているのだろう。「その前に、薫たちに紫穂を迎えに来てもらおう」皆本さんが薫ちゃんに連絡を入れて、すぐに葵ちゃんのテレポートで検査室に現れたのが気配でわかる。薫ちゃんたちは話もそこそこに、私を連れて、待機室へとテレポートした。
ピンクグリーン・シンドローム



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